NPO法人ファザーリング・ジャパン丨笑っている父親になろう

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2022.09.30 コラム

FJコラム「子どもが水を運んだ話」

みなさんこんにちは。ファザーリング・ジャパン理事の阿川です。
前回のコラムではどう書いていいのかあまりわからずに、硬い文章になってしまいました。
今回はやわらかくいきたいと思います!

今回のテーマである「子どもが水を運んだ話」は、
私がよく父親が子どもの発達にどのように関わるかという講演会の中でするお話です。
この話の主人公は、うちの長男でして、その長男が3歳の時のお話です。

妻が夜勤中のある日、3歳の長男が夕食時に
「自分で飲む水運びたい」と言いました。
普段は、こちらで用意をしていたのですが、
自分が保健師時代から子どもの自主性を伸ばしてあげる関わりが大事だなと感じていたので「いいよ」とOKしました。
でも、ただそれで終わるのではなく、少しこぼした時のことについても話してみました。

「私:もしお水こぼしたらどうしたらいいかわかる?」
「子:うん。タオルで拭く」
「私:そうやな!もしこぼしたらそれでOK!拭いた後もう一回やればいいからな」

失敗しても大丈夫だということと、うまくいかなかったらどうしたらいいかを知っておくことも、
自分でできるようになるためには大事だと考えたからです。

そしていよいよコップに水を入れ始めました。
ウォーターサーバーからテーブルまでは大人の足で10歩程度。
長男にとっては長い旅の始まりでした。
早速コップに並々の水を入れる長男。
「あぁ、それこぼすで!」と言いたい気持ちをグッと堪え、どうするかみていました。
すごく慎重に歩みを進めていたものの、3歩程度でアウト。

そして、ここでどう言葉をかけるかです。
「どうやったらうまくいくか考えてみ」
私はそれだけ伝えて見守りました。
一生懸命にタオルで床を浮いて、少しコップに残っていた水を僕に飲んでと渡しました。
そして、水を飲み干したコップを持って、もう一つコップをとりに行ったのです。
私の頭の中では「?」が飛びまくっていましたが、少し見守ることに。
するとテーブルに空のコップを置き、
絶対に自分がこぼさないであろう量の水をさっきのコップに入れて、何往復もするのです。
そしてついには、テーブルのコップの水を並々にしました。

私はかなり驚きまして、長男に「なんでこうやったん?」と聞くと、「だっていっぱいで飲みたかったから」というのです。
そう考えて行動できたことを褒めて、一緒にご飯を食べました。

このお話で、特に大事だなと自分で振り返ったシーンがあります。
それが失敗した時の声かけです。
私は「こうしたらうまくいくかもよ?」という声掛けと「どうやったらうまくいくか考えてみ」という声掛け、
どっちにしようかと思い咄嗟に後者の声かけを行いました。
そうして自分なりに考えた長男は、自分が飲みたかったコップ並々の水にありつけたのです。
もし前者なら、こぼさなくても運べる量を見せて、これでやってみたらと言っていたと思います。
でも、それじゃあ子どもは願いを叶えられなかった。
3歳でも、自分がこうしたいと思ったことにどうやったらたどり着けるのかを考える力はあるし、
とても大事なことだなと考えさせられました。
そして、親の考えを言う前に、まずさせてあげることが大事だなと言うことにも気付かされました。

その長男も今では9歳になり、自分の意志を持っていろんな主張をするようになりました。
その主張を受け入れつつ、時には親として意見してみたり。
でも、その時にいつも思い浮かぶのは、あの一生懸命に水を運んでいた小さな長男の姿です。
それだけ、父親としてどう関わるかをすごく考えた出来事だったのだと思います。

今、父親の育休推進が進み始め、また父親の育児時間が延伸したことなど、少しずつ父親の育児は大きく変化しつつあります。
それに合わせて、父親がどう子どもと関わるのかを知りたいという父親にも、地域の中で多く出会うようになってきました。
この機会にぜひ、ファザーリング・ジャパンで開催している研修などもチェックしてみてくださいね!

ファザーリング・ジャパン理事 阿川勇太
https://fathering.jp/instructors/director/instructor_agawa.html

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